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最高裁令和4年3月18日第二小法廷判決[山形県・県労委(国立大学法人山形大学)事件]

つくし法律事務所

合意成立の見込みがない場合の誠実交渉命令の適法性が問題となった事例(最高裁令和4年3月18日第二小法廷判決[山形県・県労委(国立大学法人山形大学)事件])を題材として、2022年11月10日に勉強会を開催しました。

義務的団交事項に関して、一定の内容の合意の成立する見込みがないときには、誠実交渉義務違反があったとしても誠実交渉命令を発することができないと解すべきか否か」が問題となった事案です。

 

原審は、労働組合にとって有意な合意を成立させる見込みがない場合には、誠実交渉義務違反があったとしても誠実交渉命令を発することはできないと判断したのに対し、

最高裁の論旨ではこの判断が法令の解釈適用を誤っており違法であると判断しました。

 

論旨では、以下の通り判示しています。

・団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないと認められる場合であっても、使用者が誠実に団体交渉に応ずるに至れば、労働組合は使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができるようになるとともに、労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化が図られるから、誠実交渉命令を発することが直ちに救済命令制度の本来の趣旨、目的に由来する限界を逸脱するということはできない。

・合意の成立する見込みがない場合であっても、誠実交渉命令が事実上又は法律上実現可能性のない事項を命ずるものとはいえない(労働委員会規則33条1項6号参照)。

・上記のような侵害状態がある以上、救済の必要性がないということもできない(最三小昭和58年12月20日[新宿郵便局事件]参照)。

 

したがって、実務においては、団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても、使用者は、労働組合に対し、誠実交渉義務に基づいて十分な説明や資料を提示し、労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化を図る必要があることに注意が必要です。

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