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2019年7月 2日弁護士 川上 葵

民法改正(売買・消滅時効・経過規定)

 本年6月18日、当事務所では、民法改正(売買・消滅時効・経過規定)をテーマとした事務所内勉強会を開催しました。留意点についてお伝えしたいと思います。

1 売買

  • 売主の担保責任の見直し
  • 契約不適合の場合一般における買主の救済手段として、追完請求権と代金減額請求権に関する規定の新設
  • 損害賠償及び解除につき特則を置かずに債務不履行一般の一般規定に委ねること
  • 買主の権利の期間制限につき、物の種類・品質における契約不適合の場合に限定して特則を導入すること
  • 売買の目的として特定した目的物の引き渡しにより目的物の滅失・損傷に関する危険が買主に移転する旨の規定の新設

について確認しました。

 特に代金減額請求に関しては、代金減額の算定についていかなる方法(絶対的評価方法・相対的評価方法)を選択すべきかという点、代金減額請求権を行使した場合の他の請求権(損害賠償請求権等)との関係をいかに考えるか、という点が問題意識として示されました。

2 消滅時効

  • 短期消滅時効の一部廃止
  • 主観的起算点の導入
  • 短期消滅時効期間の一部変更・導入
  • 時効障害事由の根本的改正、除斥期間の見直しがなされていること

を確認しました。

 特に、新法167条により、生命身体の侵害の場合は、債務不履行による場合も、不法行為による場合も損害賠償請求権の消滅時効が一致することになったことで、請求の選択の幅が広がりました。

3 経過規定

  • 改正前に生じた事象には旧法、改正後に生じた事象には新法が適用されること

を、附則にそって確認しました。

 改正民法の施行日は、令和2年(2020年)4月1日が原則とされています(例外にご注意ください)。
 新民法604条2項・附則32条4項は、賃貸借契約を2020年4月1日以降に更新すると新民法が適用されるとしているところ、それ以外に契約の更新についての規定がないため、適用される法が新法か旧法か問題となります。
 経過規定に関しては、実務家の関心も高いため、今後の議論や実務の動向を見守る必要があります。

 いずれの改正点についても、1つの解釈に頼るのではなく、様々な解釈を知り、比較検討することが重要であるように思います。